こんにちは!
タカラガイ博士こと、ハーマイお兄です。
皆さんは、貝というとどんなイメージをお持ちでしょうか?
どちらかというと、食べ物のイメージが多いと思います。
アサリ、しじみ、カキ、ムール貝、サザエ、アワビ、トコブシ等々
海産物として食卓に添えられることで、貝は知れ渡っていますね。
カキ大好きなんだよね…怖いけど
でも実は、昔あらゆる国で一部の貝が「お金」として使われていたことはご存じでしょうか?
今回はそんな貝とお金にまつわる話をご紹介します。
貝という漢字の由来
そもそも貝という漢字は象形文字(物の形を基本とした文字体系)から成り立っており、漢字の由来は以下のような図から「貝」となりました。
この象形文字の由来は、
「二枚貝を二つに開いた状態の姿を描いた文字」という説や、「子安貝の象形を模して出来た文字」といった説などいくつか存在しますが、子安貝と言われていた貝が元である説が一般的です。
ちなみに、貝は中国語で「贝」と書きます。とても似ていますね。
そして何を隠そうこの「子安貝」こそ、タカラガイを表しています。つまり、タカラガイの別称です。
子安貝は古くから安産祈願のお守りとして使われており、妊婦さんに握ってもらったり、枕元に置いて願ったりすると安産になると言われてきました。
様々な漢字に用いられている子安貝
「貝」の文字だけでなくその他の漢字の由来においても、「貝(タカラガイ)」という文字が含まれていることが分かります。
例としては、「お金を『貯』める」、「お金を『費』やす」、「『買』う」
「『貧』しい」、「『貨』幣」、『財貨』、などなど。
このように、何世紀にも渡ってお金に関する漢字には「貝」という文字が利用されてきました。
タカラガイがここまで日本人に深く根付いていたことに驚きですね。
タカラガイは昔から人々に愛されていたんだね!
竹取物語にもあった「燕の子安貝」というワード
平安時代初期に書かれたといわれる有名な物語「竹取物語」でも、「燕の子安貝」というワードが記載されています。
「石上中納言には、『燕つばくらめのもたる子安貝一つとりて給へ。』といふ。」(出展:竹取物語)
これは、「燕の産んだ子安貝を持ってきなさい」という意味なのですが、具体的にはかぐや姫に求婚を迫った5人に対して、この世の珍しい宝を集めてくるように言い放ったフレーズです。
手に入れることが不可能な無理難題な出題をする、という場面なのですが、ここで子安貝=タカラガイの記述があり、平安時代から珍しい宝物の一つとして子安貝が重宝されてきたことが伺えます。
鳥のツバメが、タカラガイを生むことは出来ないよね
タカラガイの日本文学の歴史についてはこちらでもまとめています。
海外と比較したタカラガイの歴史
また、キイロダカラガイ(黄色宝貝)やハナビラダカラガイ(花弁宝貝)などの貝殻は、アフリカ諸島やインド、中国など世界各地でお金(貝貨)として使用されていた歴史があります。
その証拠として、キイロダカラガイの英名は「Money cowry(お金のタカラガイ)」、中国語では「货贝(お金の貝)」という名がつくほど、貝殻のお金「貝貨(ばいか)」として親しまれていました。
それぞれの国をピックアップして作成した表が以下の通りです。
|
日本 |
中国 |
インド |
アフリカ |
使用年代時期※ |
紀元前131世紀頃~17世紀頃 |
紀元前220年頃~17世紀頃 |
14世紀~18世紀頃 |
14世紀~18世紀頃 |
主な使用目的 |
貨幣、呪物、装飾品、御守 |
贈与、埋葬品、貨幣 |
貨幣 |
貨幣 |
主な使用貝殻 |
キイロダカラガイ、 ハナビラダカラガイ、ハチジョウダカラガイなど |
ほぼキイロダカラガイ |
キイロダカラガイ ハナビラダカラガイなど |
キイロダカラ(1級物)、ハナビラダカラ(2級物) など |
※使用年代時期については諸説あります。
キイロダカラがMoney crowy(お金のタカラガイ)なんて名づけられるようになったのは、そもそもお金=金、つまり金色に近いものをお金と模して利用するためではないかと考えます。
色が落ちていない新しい状態のキイロダカラは、本当に黄色に覆われていてとても煌めかしいです。
ハナビラダカラも黄色の輪が表面に描かれているので、お金のイメージを持てたのではないかと思います。
お金として利用することに差し支えなかったほど、人々に愛されていたことが分かりますね。
キイロダカラ沢山持っているのになあ…換金できないかなあ笑
タカラガイが使われていた理由
タカラガイがお金として交易で使用されていたことには理由があります。
それは大きく3つであると考えられます。
- 軽くて丈夫で持ちやすく、便利だったため
- 偽造することが出来ないため
- 場所が離れた遠方国でも価値のあるモノとして認知されていたため
1つ目に、タカラガイが軽くて丈夫な貝殻であり、お金として使われた「キイロダカラガイ」は大きさも3cm程度と小柄であり、軽くて持ちやすかったためと言えます。
2つ目に、タカラガイのその独特な形状・色合いからして、同一の物を偽造するのはそもそも難しいのですが、当時は更に独特な加工を施していたため、偽造はほぼ不可能であったようです。
3つ目に、遠方国との交易の際は互いそれぞれ異なる通貨があっても、その通貨では交換することが出来ませんでした。
そのため相手にも取得難易度がそれなりに高いことが分かり、かつ人々に認知されていたタカラガイが使用されたのではないかと考えられています。
以上の事からタカラガイは各国の間でお金として流通したと考えられます。
自国に足りないものを他国から補うため、昔の人はタカラガイという共通貝貨を使って必要な物を物々交換していたわけですね!
この考え方は現代にも息づいていて、例えば仮想通貨も本来の考え方は、このように他国と気軽にモノやサービスを交換する、いわばタカラガイによる物々交換の電子データバージョンと言えますね。
そう考えると昔の人がいかに今に劣らない知性があり、そこにあるモノを活かしていたかが伺えますね!
まとめ
如何でしたでしょうか?
今の人々には食べ物としか思われていなかった「貝」ですが、
その価値は、漢字を含め貨幣としても多くの役割を担ってきました。
人は、貨幣として青銅や紙など多くの物を通貨としてきた歴史があります。
もしかしたら、全世界で初めての遠方国との貿易で扱われる「基本通貨」だったのかもしれませんね。
最後まで見ていただき、ありがとうございました。